IPv6 Part 3 -マルチキャストアドレス-

概要


IPv6は通信方法により次の3種類のアドレスを使用します。IPv4で利用されていたブロードキャストアドレスは廃止され、マルチキャストアドレスで行います。 今回はマルチキャストアドレスについて記載します。

種類 説明
ユニキャスト アドレス 特定のノードと通信するために使うアドレス。
マルチキャスト アドレス 特定のデータを複数のノードに配信するために使うアドレス。
特定のアドレスを複数のノード/インターフェースが保持できる。
エニーキャスト アドレス 特定のアドレスを複数のホスト/インターフェースが保持できる。
同じアドレスを保持している複数のノードの中から、
最も近いノードと通信するために使うアドレス。

以前の記事はこちらになります。




マルチキャストアドレス

複数のノードと通信するために使うアドレス。最初の8ビットがFF::/8で始まります。

flags

flagsは、アドレスの性質により以下の値をとります。

  • 0 ・・・IANAにて予約されているため必ず0
  • R ・・・0(ランデブーポイント情報なし)、1(ランデブーポイント情報あり)
  • P ・・・0(プレフィックス情報なし)、1(プレフィックス情報あり)
  • T ・・・0(Wellknownマルチキャストアドレス)、1(一時的なマルチキャストアドレス)

scope

scopeはマルチキャストパケットが到達する範囲を示します。

2進表記 16進表記 スコープ
0000 0 予約済み
0001 1 ノードローカルスコープ
0010 2 リンクローカルスコープ
0011 3 予約済み
0100 4 管理ローカルスコープ
0101 5 サイトローカルスコープ
1000 8 組織ローカルスコープ
1110 E グローバルスコープ
1111 F 予約済み

Well-known Multicast Address

IPv4と同様、IANAによって、特定の目的のため事前に定義されたアドレス。基本的にIPv4と利用用途は変わりません。 以下URLで一覧を確認できます。
IPv6 Multicast Address Space Registry

アドレス 宛先 説明
ff02::1 All Nodes Adress 同じリンク上のすべてのノードに到達するためのすべてのノードのアドレス(RFC4291)
ff02::2 All Routers Address 同じリンク上のすべてのルータに到達するためのすべてのルータのアドレス(RFC4291)
ff02::4 DVMRP Routers 同じリンク上のすべての DVMRP マルチキャスト・ルータに到達するために使うすべての DVMRP (Distance Vector Multicast Routing Protocol) ルータのアドレス(RFC1075)
ff02::5 OSPFIGP 同じリンク上のすべての OSPF ルータに到達するために使うすべての OSPF (Open Shortest Path First) ルータのアドレス(RFC2328)
ff02::6 OSPFIGP Designated Routers 同じリンク上のすべての OSPF 指定ルータに到達するために使うすべての OSPF 指定ルータのアドレス(RFC2328)
ff02::1:ff/104 Solicited-Node Address リンク層アドレスにリンクローカル・ノードの IPv6 アドレスを解決するためのアドレス解決処理に使う要請ノードのアドレス。要請ノードのアドレスの最後の 24 ビットは IPv6 ユニキャスト・アドレスの最後の24ビットです(RFC4291)

Solicited-Node Address

リンク層アドレスの解決に利用されるアドレス。以下のルールに基づいて生成されます。

  1. Network Prefix に Solicited-Node Address 用に予約されたものを使用する(ff02::1:ff/104)
  2. ユニキャストアドレスの下位24bitを取り出す
  3. 1と2を組み合わせてアドレスを生成

マルチキャストアドレス使用時のMACアドレス

IPv4アドレス同様、IPアドレスにマルチキャストを使用する場合、MACアドレスもマルチキャスト用のアドレスが生成されます。 以下のルールに基づいて生成されます。

  1. MACアドレスの先頭16bitは、[33:33]をセットする
  2. MACアドレスの後ろの32bitは、マルチキャストアドレスの下位32bitをセットする
  3. 1と2を組み合わせてアドレスを生成

参考


翻訳: